【2025年版】中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)都立入試への評価と対策を解説

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ESAT-Jは東京都が主催するスピーキングテストで、東京都の中学校に通う全生徒が受験をします。令和4年度から本格的に導入され、ESAT-J YEAR3 の結果は、都立高校入試の得点としても用いられます。スピーキングテストといっても、面接官などと英語で会話をするわけではなく、タブレット端末を使用して解答音声を録音する形式です。

テストの概要

ESAT-Jは東京都が主催するスピーキングテストで、東京都の中学校に通う全生徒が受験をします。令和4年度から本格的に導入され、令和5年度から中学校1年生対象の ESAT-J YEAR1、2年生対象の ESAT-J YEAR2 が開始されました。従来の ESAT-J は令和6年度から中学校3年生対象の ESAT-J YEAR3 という名称に変更され、都立高校入試の得点としても用いられます。

スピーキングテストといっても、面接官などと英語で会話をするわけではなく、タブレット端末を使用して解答音声を録音する形式です。

試験日程・会場

学年によって試験日程が異なります。令和6年度を例として見てみると、
中学校3年生の ESAT-J YEAR3 は、令和6年11月24日(日)に都立高校や⺠間施設などで実施され、結果は令和7年1月中旬頃に通知されました。
中学校1年生・2年生の ESAT-J YEAR1/2 は、令和7年1月から3月までのいずれか1日で実施されました。実施日は中学校によって異なり、実施会場も在籍する中学校です。
(参照:東京都教育委員会「【特設ページ】中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J」))

評価方法

ESAT-JでとったスコアはA〜Fのグレードとして判定されます。
esat-j-score01

都立入試では、ESAT-JのAからFまでのグレードは、それぞれ0〜20点の点数として取り扱います。

esat-j-score02

この換算方法では、「ESAT-Jのスコアが1点であれば、グレードはE評価となり、都立入試の換算としては4点」ということになります。

ESAT-J YEAR3 の都立入試への影響

東京都立入試の配点は以下の通りです。
学力試験700点 + 調査書300点 + ESAT-J20点 = 1020点

このことから、ESAT-JはA〜Fのグレードが1つ変わると1020点換算で4点の影響があります。
一方、調査書(内申点)の得点を1020点に換算すると、内申点1は5科目(英数国理社)は約4.6点分、実技科目(音美技保)は約9.2点分なので、ESAT-J の得点よりも内申点の方が入試において大きな影響があるといえます。

もちろん最低限の対策はするべきですが、内申点(仮内申)に影響する最後の定期試験が11月中旬〜11月下旬に行われることを考えると、ESAT-J の対策よりも、定期試験の対策をする方が入試にはよいです。

ESAT-Jの問題と対策を徹底解説

どんな問題がでるの?

令和6年度の問題を見ると、大問が PartA〜PartDの4つ、小問が全部で9問あります。 詳しくは以下の通りです。

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(参照:東京都教育委員会「ESAT-J YEAR 3サンプル問題)

これまで英語のスピーキング練習をしたことがないのですが、どうすればいいですか?

ESAT-Jはスピーキングテストとはいっても、なめらかに英語が話せる必要はありません。 採点基準から読み取れる明確な傾向があるので、Partごとに傾向と対策を紹介します。

PartAの問題と対策

PartAは英文を声に出して読み上げる問題が2問出題されます。

PartAで評価されるのは「音声」、つまり発音やイントネーションが評価の対象となります。それだけを聞くと「発音とか苦手だし、点数とれなさそうだな」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。評価基準は厳しくないので、対策次第で点数がとれるようになります。

採点基準には,「発音と強勢」「読む速さや間の取り方」について以下のような基準が示されています。

評価2の「★★」を見ると、

  • 発音の誤りがあり、聞き手にとってわかりにくいことがある
  • 読む速さが適切ではないことがある(遅い、または一定ではない)
  • 不自然な間があり、聞き手にとって分かりにくいことがある

とあり、仮につっかえながら読んでしまって、聞き手に分かりづらくても3点満点中2点がもらえます。

また、評価3の「★★★」を見ても、

  • 多少の誤りはあっても、聞き手が十分に理解することのできる発音である
  • 不自然な間があっても、聞き手が十分に理解することができる

とあり、少しであれば、間が空いたり間違えていても3点満点をもらえます。

発音に関しても厳しい評価基準ではありません。
例えば、I play the piano on Monday. という英文を「音声」で評価すると、

  • ネイティブのような発音 → 求められていない
  • アイ プレイ ザ ピアノ オン マンデイと読んだ → 3点
  • アイ プレイ ザ ピアノ オン モンダイと読んだ → 2点
  • アイ プラザ ピノ オー モンダイと読んだ → 1点
  • アイの後読まなかった → 0点

となります。また、たとえ言いよどみや言い直しがあっても、2点はもらえます。
つまり、PartAは「たとえ完璧でなくても、大きな声で英文を読み上げる」ことで、点数をとることができます。逆に正しい発音・イントネーションにこだわって声が小さくなったり、考え込んで何も言わなかったりすると、点数を落とすことになります。

PartBの問題と対策

PartBは質問を聞いて、それに返答する問題が5問出題されます。

PartBで評価されるのは「コミュニケーションの達成度」、これは目的や場面、状況に応じて「自分の言いたいことが相手に伝えられているかどうか」が評価の対象となります。PartBもPartAと同じく、評価基準は厳しくないので、対策次第で点数をとることが可能です。

採点基準は以下の通りです。

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(参照:令和6年度 ESAT-J YEAR 3 採点基準)

問題の模範解答は難しいと感じるかもしれません。ただ、評価基準を見ると「平易な文を使っている」「平易な文を使おうとしているが〜」とあるので、出題された趣旨に沿って解答できていれば、簡単な文で答えれば問題ありません。また、PreA1 の採点基準では、「限られた単語や表現で答えている」とあり、どうしても文で答えられないときは、単語だけで解答しても採点はしてもらえることが分かります。

PartBでの評価観点は「自分の言いたいことが相手に伝えられているかどうか」なので、文法や語彙に誤りがあっても、伝えたいことを短い文にして答えれば点数をとることができます。PartAと同じく、 正しい発音・イントネーションにこだわって声が小さくなったり、考え込んで何も言わなかったりすると点数を落とすことになります。

PartC・PartDの問題と対策

PartCはイラストを見て、そのストーリーを英語で説明する問題が1問出題されます。また、PartDは英語で話される音声を聞いて、それに対して自分の意見を述べる問題が1問出題されます。PartCとPartDは問題の傾向として似ているので、一緒に説明をします。 具体的には以下のような問題が出題されます。

PartCとPartDの問題は「音声」「コミュニケーションの達成度」「言語使用」と複数の観点で評価されるのが特徴です。
「音声」「コミュニケーションの達成度」の2つは、PartA・PartB の採点基準と比較的似ているので、ここでは「言語使用」について説明をします。具体的な例として、PartC の A2.1 の採点基準を見てみましょう。

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(参照:令和6年度 ESAT-J YEAR 3 採点基準)

ここでは「出来事の流れを順序立てて説明するため」に、接続詞や代名詞を使っているかどうかが採点基準になっています。PartB までが文を話せればよかったのに対し、PartC や PartD では、複数の文を聞き手にわかりやすくストーリーとして話すことが求められます。
しかし、2022年に公開されていたESAT-Jのプレテストの結果では、この水準に至っている生徒は全体の1%未満というデータがあります。接続詞や代名詞をうまく使えなくても、まずは平易な文で順番に内容を説明できれば、十分に他の受験生をリードできる得点を獲得できます。

その観点で PartC の A1.2 の採点基準を見てみると

  • 平易な文を使っている
  • 出来事は順番に説明されているが、出来事の流れを順序立てて説明するための適切な表現を使っていない
    とあります。もし接続詞や代名詞を使えていなくても、順番に短い文で説明できれば PartC・PartD ともに得点を得ることが可能だということがわかります。ですので、「言語使用」もPartAの「音声」、PartBの「コミュニケーションの達成度」と同様に、細かい文法は気にしなくてもいいので、まずは伝えたいことを声にだして短い文で言ってみることが大事だと言えます

ESAT-J についてご不安な方は

いかがでしたか? ESAT-J のようなスピーキングテストはちょっと身構えてしまうかもしれませんが、どのようなテストかを正しく理解して、まずは声に出すことを優先することで、点数を少しずつ重ねていけば大丈夫です。
コノ塾ではこのようなESAT-Jの対策・指導はもちろん、都立高校受験に必要な5教科の内申・定期考査対策、進路指導を行っております。

まずは話を聞きたい、相談したいという方も大歓迎です。
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監修者 中嶋広大

大手学習塾にて、最難関校受験コースの教室長、本部映像授業責任者を歴任。英語の動画教材においては、中学2年から3年まですべての制作を行うなど、塾業界での英語教育のエキスパート。また東京エリアの教務・進路責任者として、自校作成校を含む都立高校受験での進路指導・教材カリキュラムの取りまとめを行うなど、都立受験の経験も豊富。現在は、コノ塾にて英語教材の制作・開発の責任者として、ESAT-J対策含む英語指導のカリキュラムを担当。